無痛分娩にしたいけれど、どうやって産院を選んだらいいのかわからないという方も多いと思います。なんとなく大きい病院の方が良さそうと曖昧な基準で選んではないでしょうか。
より安全に無痛分娩を受けるためには、産院を選ぶ上で医療設備や体制の充実など重要なポイントがいくつかあります。加えて、自宅からのアクセスや産院の雰囲気、産院での説明など不安を解消し安心して出産を迎えるための注意点もあります。本記事では、無痛分娩をより納得のいく形で受けられるための産院選びのポイントや探し方をご紹介します。
なぜ無痛分娩で産院選びにこだわった方がいいのか
痛みを緩和できるならどこの産院でも同じではないかと考えていませんか。無痛分娩は、分娩と麻酔の両方の管理が必要になるため、専門的な技術や設備が必要になります。
無痛分娩に対応している施設でも、医療スタッフの人数や設備や実績はそれぞれです。より安全に無痛分娩を受けるためにはできるかぎり、体制などが充実しているところを選ぶ方が良いでしょう。特に、夜間や休日には無痛分娩の対応をしていない施設もあり、陣痛が夜間に来た場合、無痛分娩が受けられないこともあります。納得のいく無痛分娩を受けるために、ぜひ産院選びにこだわりましょう。
無痛分娩で産院を選ぶポイント
ここでは、無痛分娩を受けるからこそ、確認しておきたい点をご紹介します。
実績があって医療スタッフが充実している
無痛分娩の対応ができる施設か、無痛分娩を得意としている施設かどちらが良いかと言われると、後者の方が良いでしょう。目安として無痛分娩を年間300件以上実施している施設は、対応件数が多いと言えます。ただし、地域や病院の規模によって一概には言えず、いくつかの産院で迷っているときは、分娩の実績数を確認すると良いでしょう。
また、無痛分娩の場合、分娩と麻酔の管理の両方が必要になります。麻酔科医のいない産院では、産科医が、麻酔の管理も行うことになり負担が増えます。麻酔科医のいる産院の方が、産科医が分娩に集中しやすい状況となっているでしょう。
実績の多い施設では、産科医や麻酔科医はもちろん、助産師や看護師など他のスタッフもそれだけ経験を積んでいる可能性が高いと言えます。ホームページで、スタッフが日々研修を受けて認定された資格やマニュアルなどを掲載している施設もあります。
医療設備が整っている
より安心して無痛分娩を受けるためには、医療設備が充実している産院を選ぶのが良いでしょう。無痛分娩には、背中の辺りにチューブを挿入し、チューブから麻酔薬を投与します。そして、分娩の進捗や痛みの強さをみながら、効果が持続するように麻酔薬を追加します。
痛みが強くなったときに、麻酔薬を自分で追加投与できるポンプを取り付けることもあります。産院によって使用しているポンプは異なりますが、基本的に過量投与にならないように追加できる麻酔薬の量が決められています。麻酔の投与方法や方法がどのようになっているか確認しておくと良いでしょう。
また、分娩室が衛生的か、入院する部屋が快適そうかなども重要なポイントです。入院中はホテルのような快適なところで過ごしたい、できれば費用を抑えたいなど希望に合わせて自分にあった施設を選びましょう。
24時間365日無痛分娩に対応している
産院によっては、平日の日中のみ無痛分娩を行っているところもあります。陣痛が来たタイミングに合わせて麻酔薬を投与して出産に臨む自然無痛分娩の場合、通常分娩と同じく、いつ出産になるかわかりません。対応していない時間帯での出産となった場合、無痛分娩を行えない場合もあります。
予定日を決めて行う無痛分娩の場合は、休日の出産になることは基本的にありませんが、出産が長引いてしまうこともあります。24時間365日無痛分娩に対応している産院を選べば、いつ陣痛が来ても無痛分娩を受けることができます。
見学会や説明会がある
ホームページの写真や口コミだけではなかなか、産院の雰囲気がわかりにくいかもしれません。実際に見学会などに行ってみることで、アクセスの良さや病院の雰囲気がわかるでしょう。
特に無痛分娩はメリットもデメリットもあり、不安や疑問に思うこともあると思います。説明会では、無痛分娩について説明を受けることができ、出産当日の流れをイメージしやすくなります。良いことだけを話すのではなく、デメリットも踏まえて丁寧に説明をしてくれる産院が良いでしょう。
自然分娩でも無痛分娩でも抑えておきたい
産院選びのポイント
アクセスしやすい病院か
産院選びにおいて、自宅から近いか、アクセスしやすいかどうかは非常に重要な点です。陣痛が来たときや破水していざ出産となったときに、自宅から産院まで時間がかかると、間に合うか心配になってしまうでしょう。
目安としては、遠くても1時間以内に到着できる産院が良いでしょう。特に出産は深夜になることもあり、公共交通機関が動いていないこともあります。自宅から車で向かうのか、陣痛タクシーなど他の手段を利用するのか事前に検討しておきましょう。
また日々の検診においても、お腹が大きい状態で通院することは大変なことです。初めは4週に1回の検診も赤ちゃんが大きくなって週数が進めば進むほど、検診の回数が増えます。負担なく通える産院を選びましょう。
出産に関わる費用が明確か
出産には50万円ほど費用がかかります。無痛分娩は、追加で15〜20万円ほどかかるのが相場ですが、産院によって費用は異なります。出産にかかる費用は、保険適応外であり自費で支払うことになります。出産一時金が支給されますが、かかった費用の差額のみを払う場合もあれば、全額支払った後に、一時金を受け取る場合もあります。
また、出産中は赤ちゃんがなかなか出て来られないと鉗子分娩や会陰切開などの処置を行うことがあり、その場合に費用がかかります。母子の状態によっては入院日数が伸びることで、入院費がかさむこともあります。追加で発生しうる費用についても事前に確認しておくと安心でしょう。
産院やスタッフの雰囲気が良いか
出産は命懸けで、人生に何度もあることではありません。初産なら初めてのことばかりで緊張したり、不安に思ったりすることもあると思います。安心して出産を行うためには、自然分娩でも無痛分娩でも産院やスタッフの雰囲気が良いところを選ぶのが良いでしょう。
麻酔を調整して欲しいときや、出産時のいきみ方がわからないときなど、スタッフにサポートしてもらうことがたくさんあります。産後も思うように体を動かせず、ナースコールを押してスタッフを呼ぶ場面もあるでしょう。声をかけやすい、落ち着いて相談できそうな雰囲気か確かめておくことをおすすめします。
JALAのHPで無痛分娩可能な産院をチェック
どこの産院でも無痛分娩を受けられるわけではなく、対応している施設は、分娩施設全体の30%ほどです。無痛分娩に対応している施設は、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)のホームページにも掲載されています。
地図や住所から検索ができるため、自宅の近くの産院を探す上でとても便利です。施設ごとに医師の人数や、年間の実績件数、医療機器や緊急時の体制などJALAが定めた項目に沿って掲載されています。本記事でご紹介した、産院選びのポイントに沿って確認できることも多く、比較もしやすいためぜひ参考にしてください。
JALAのホームページに掲載していない産院もあります。ホームページで自宅近くの病院が見つからない場合は、ご自身でも調べてみるのが良いでしょう。
まとめ
無痛分娩を安心して受けるためには、産院選びは非常に重要です。医療スタッフは設備の充実はもちろんのこと、自宅からの距離や、何を重視するかは人それぞれでしょう。産院の雰囲気なども来院してみて初めてわかることもあると思います。より納得のいく無痛分娩を受けられるように、見学会に参加するなど、事前に情報を十分に集めて産院を選びましょう。