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Article【31週での出産!?】早産の原因や兆候は?赤ちゃんの生存率や後遺症を妊娠週数に合わせて解説

コラム 2024.12.15

赤ちゃん

 

赤ちゃんが十分に発育して、安全に出産を行うことができるとされている時期は、妊娠36週〜41週で「正期産」と言われます。しかし、子宮の病気や胎盤の状態、赤ちゃんの状態によって早期に出産する「早産」になるケースもあります。

 

また、身体に負荷をかけることにより予期せぬ早産や、切迫早産になってしまうこともあるでしょう。早産になっても赤ちゃんが生きられるのか、早産を予防できないのか気になることも多いと思います。

本記事では、早産の原因や兆候、赤ちゃんの生存率について解説します。早産を予防する方法についても紹介しますので、より安心してマタニティ生活を送れるようにぜひ参考にしてください。

 

早産とは?

日本では、妊娠22週0日から36週6日までに産まれることを早産と言います。22週0日未満で生まれた赤ちゃんは残念ながら生きていくことが難しいとされており「流産」になります。

 

一言で早産と言っても、妊娠22週で生まれる場合と36週で生まれる場合では赤ちゃんの発育状態に違いがあり、生まれるのが早ければ早いほどリスクが高くなります。妊娠34週0日〜37週6日までの出産は「後期早産」といい、正期産に生まれた赤ちゃんとあまり変わらない大きさまで成長していることもありますが、それでも合併症を起こすリスクがあると考えられています。

 

早産が起こる確率は全体の5%ほどであると言われており、「自然早産」と「人工早産」があります。自然早産は、通常より早いタイミングで陣痛が起こり出産することです。人工早産は、胎児や母体の健康状態によって妊娠を継続できず、やむを得ず出産日を待たずに人工的に出産させることをいいます。 

 

切迫早産とは?

早産について調べていると「切迫早産」という言葉を目にすることがあるでしょう。なかには切迫早産と診断された方もいらっしゃるかもしれません。切迫早産とは、早産になりそうな状態のことを言います。

切迫早産は、医師が子宮収縮や子宮頸管の開大度などを確認して診断されます。安静や子宮収縮抑制剤の投与など処置を行う必要があり、放置してしまうと早産になる可能性があります。兆候が見られた場合はかならず受診しましょう。

 

早産の原因は?

早産は、子宮の病気や体質など妊婦側の要因のこともあれば、胎児の状態が原因で起こることもあります。早産の原因や切迫早産を引き起こす可能性がある要因について解説します。

 

早産の原因となる病気や妊娠中の状態

早産になりうる病気や妊娠中の状態は以下の通りです。

 

子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)

通常、出産までは赤ちゃんが子宮から出て来ないように、子宮の入り口の子宮頸管が閉じています。子宮頸管無力症は、何らかの原因で妊娠中に子宮頸管が緩んでしまう病気です。

 

・細菌感染(細菌性膣症、絨毛膜羊膜炎)

切迫早産の原因として最も多いのが、膣内や子宮内の感染です。感染により炎症を起こすことで、内膜が弱くなり破水や子宮収縮を誘発する危険性があります。

 

・妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群の場合、子宮や胎盤の血流が悪くなることで胎児に栄養や酸素が届きにくくなります。発育不全を起しやすく、早産や低出生体重時のリスクが高まります。

 

・常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

出産前に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離が起こると、胎児に酸素や栄養を供給できなくなります。緊急帝王切開ですぐに胎児を取り出す必要があり、結果的に早産となることがあります。

 

・多胎妊娠

双子や三つ子以上を妊娠している場合、赤ちゃん一人が育つための子宮に複数の赤ちゃんがいることで子宮が大きくなります。お腹が張りやすく子宮収縮が起こりやすくなります。

 

早産の原因となる習慣

早産の原因は、子宮の病気や胎児の状態だけではありません。妊婦の生活習慣によっても早産が起こりうる原因となることがあります。

 

・飲酒や喫煙
タバコに含まれるニコチンは母体の血管を収縮させることで血流が悪くなり、胎児が低酸素状態になることや子宮頸管に炎症を起こす恐れがあります。結果、胎児の発育不全や早産に繋がります。アルコールも胎盤を通じて胎児に届き、胎児性アルコール症候群(FAS)や早産、流産の原因となります。

 

・立ちっぱなしや重たい荷物を持つ

長時間立ったまま過ごす、重たい荷物を持つことでお腹の重みがかかって子宮が収縮しやすくなります。

 

・過度のストレス、睡眠不足

ストレスによって交感神経が活発になることや身体が冷えていることで、血管収縮が起こり、子宮への血流が悪くなります。睡眠が不足することでも子宮への血流が低下して胎児に酸素が十分に送れず、早産のリスクが高くなります。

 

早産によるリスクや危険性

早産を避けられないという事態になることもあり、実際に早く生まれてくることで赤ちゃんにどのような影響があるのかが心配だと思います。早産による赤ちゃんの生存率や後遺症について解説します。

 

赤ちゃんの生存率

早産で生まれた赤ちゃんの生存率は、在胎週数によって異なります。

周産期母子医療センターネットワークデータベース解析報告によると、妊娠22週の生存率は41.1%です。この時期の赤ちゃんの体重は200g〜600g程度で、発育が進んでいる方が生存率は上がります。26週では生存率は90%以上になりますが、十分に発育できない場合は生存率が下がり、適正体重の800〜1000gまで発育できていると生存率がより高くなります。

 

22週 23週 24週 25週 26週 27週 28週 29週 30週 31週
死亡率 59.0% 31.0% 18.9% 12.2% 8.4% 6.3% 4.2% 3.3% 3.0% 2.8%
生存率 41.0% 69.0% 81.1% 87.8% 91.6% 93.7% 95.8% 96.7% 97.0% 97.2%

周産期母子医療センターネットワークデータベース解析報告「10年のまとめ事業報告書(追加解析報告)日本語版参照

 

赤ちゃんの合併症

早産で生まれた赤ちゃんに現れる合併症や後遺症は、生まれた時期やそれまでの発育によって異なります。

妊娠20週ごろから肺で呼吸の練習を始めると言われていますが、赤ちゃんが自分で呼吸ができるようになるのは妊娠34週ごろです。それまでに生まれた赤ちゃんは呼吸障害を起こしやすくなります。

 

耳や目などの感覚器官は妊娠10週ごろに形が形成されますが、神経ができるのは妊娠20週から24週ごろです。妊娠28週ごろに多くの臓器が機能するようになるため、それより早くに生まれた赤ちゃんは身体の機能が十分に発達しておらず、障害が出やすくなります。

 

脳の血管の発達が未熟な場合は、血流の変化に耐えられず脳出血を起こす可能性や、血流が不足しやすい脳の白質という部位に障害を受けることで脳性麻痺などを起こす可能性があります。

 

切迫早産の症状は?

可能なかぎり早産にならないようにするためにも、早産の手前の切迫早産の症状が見られた時点で受診をしましょう。切迫早産の代表的な症状は以下の通りです。

 

・お腹の張りや痛み

・破水

・不正・性器出血

・発熱

・おりものが増える(細菌感染の兆候)

 

出産前には陣痛と呼ばれる子宮の収縮が規則的に起こることで赤ちゃんを子宮外へ出そうとします。出産の予定日より早くにお腹の張りや痛みが規則的に起こる場合は、切迫早産につながる可能性があります。本来、出産数日〜数時間前に見られる出血や破水が早い時期に見られる場合は、すでに切迫早産になってしまっているかもしれません。

また、発熱やおりものが増えると、早産につながる膣や子宮の感染を起こしていることも考えられるでしょう。

 

早産にならないためにできること

病気など早産の原因によっては対処できないものもありますが、生活習慣など早産にならないように注意できることもあります。

 

・規則正しい生活を送る

・ストレスをためない

・激しい運動をしない、無理をしない

・長時間の立ちっぱなしにならない

・重たい荷物をもたない

・禁煙と禁酒

 

仕事で長時間立ちっぱなしになる、重たい荷物を持つ必要がある場合などは周囲に協力を求めましょう。タバコは妊婦自身が吸わないのはもちろんですが、受動喫煙にも注意が必要です。

 

また、定期的に妊婦健診を受けて、胎児の発育や子宮の状態など妊娠の経過を確認してもらい、医師の指示に従って無理をせずに過ごしましょう。

 

まとめ

早産はさまざまな原因で起こり、飲酒や姿勢、ストレスなど生活のなかで気をつけられることもあります。ただし、子宮の病気や多胎妊娠など治すことができない原因もあり、早産を絶対に予防できるとは限りません。

 

出産直前でもないのに、出血や破水、陣痛があるなど切迫早産を疑うような症状があった場合はすぐに受診をしましょう。

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