Article【妊婦のお尻や腰の痛み】坐骨神経痛の原因や症状、対処方法を解説
コラム 2024.11.23
妊娠中に、お尻や足、腰にかけてピリピリとした痛みやしびれが出て困っていませんか。妊娠中はお腹が大きくなることや、ホルモンの分泌によって、「坐骨神経痛」が生じやすくなります。ただの腰痛かなと思ってそのままにしていると、症状が悪化して眠れないほど痛くなる、歩けない、座れないほど痛みが強くなることもあり、早めの対処が必要です。
本記事では、妊婦がなりやすい坐骨神経痛について、痛みの原因や症状、緩和方法など対処法についても詳しく解説します。症状を悪化させないために、普段から意識したい姿勢や予防行動についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
なぜ妊娠中はお尻が痛い?坐骨神経痛の原因
妊娠中に坐骨神経痛が生じる原因は以下の通りです。
・お腹が大きくなることでバランスを取ろうとして反り腰になる。
・ホルモンの影響で関節や靭帯が緩み骨盤が開きやすくなる。
赤ちゃんが成長することでお腹が大きく重たくなり、体の重心が前方に移りやすくなります。そのためバランスを取ろうとして、自然と上半身をそらした「反り腰」の姿勢を取りやすくなるという方も多いのではないでしょうか。骨盤が前傾して、梨状筋と呼ばれるお尻の筋肉が硬くなったり、緊張したりすることで坐骨神経を圧迫して痛みを生じる原因となります。
まだお腹が大きくなっていないのに坐骨神経痛があるという方は、妊娠初期から分泌される「リラキシン」というホルモンが影響している可能性があります。リラキシンは、関節や靭帯を緩め骨盤を開きやすくする作用があり、出産時に赤ちゃんが出てきやすくするために欠かせません。しかし、リラキシンによって骨盤が開くと、骨盤の周囲を通る坐骨神経が刺激されて痛みが生じることがあります。リラキシンは妊娠初期から産後2〜3ヶ月と長期にわたって分泌されるため、お腹の大きくなる前や、産後でも坐骨神経痛を生じることがあります。
坐骨神経痛の症状は?
妊娠中の坐骨神経痛は、以下のような症状が出ます
・腰からお尻にかけての痛みやしびれ
・太ももやふくらはぎの痛みやしびれ
・腰を反らすと痛みが強くなる
・お尻が痛くて座りづづけられない
・痛みが強くて歩けない
神経を圧迫している部位によって痛みを生じる場所も異なりますが、初期症状としては、腰やお尻にかけての痛みやしびれを感じることが多いようです。悪化すると痛みの範囲が広がり、太ももや、ふくらはぎつま先にまで痛みが出ることもあります。場合によっては、痛みが強くなって痛くて歩けないこともあります。痛みが原因で眠れなくなると、睡眠不足になって疲れが取れなかったり気分が落ち込んだりすることもあるでしょう。痛みが強くなる前にできるだけ早く対処することが大切です。
坐骨神経痛の対処方法は
すでに症状が出ていて辛い、少しでも痛みを和らげたい方に向けて、対処方法をご紹介します。セルフケアできるものや、すぐにできるものもありますので、ぜひ取り組んでみてください。
無理に動かないようにして体を温める
痛みが強いときは、無理に動かないようにしましょう。動くことで、坐骨神経をさらに圧迫して痛みが強くなる可能性があります。特に、長時間立ちっぱなしでいることや、重たい荷物を持ち運ぶことは、腰周りや下半身の筋肉に負担をかけ、痛みを悪化させる可能性があります。
血流がよくなると筋肉がほぐれて痛みが緩和しやすくなります。お風呂に入ってリラックスするのも良いでしょう。ただし、痛みのある場所を長時間温めることで炎症が強くなり症状が悪化してしまう恐れがあります。妊娠中は全身の血流量が多く、のぼせやすくもなっているため、長風呂や熱すぎるお湯に浸かるのは避けましょう。
坐骨神経痛に効果のあるツボを押す</h3>
坐骨神経神経痛に効果のあるツボは以下の通りです。
・環跳(かんちょう)
お尻に力を入れた時にできる窪みの場所です。親指の腹を使って押します。
・委中(いちゅう)
膝を曲げた時に膝の裏側にあります。ふくらはぎに痛みや痺れがあるときに押すツボです。
・承扶(しょうふ)
お尻の下の横しわの中央にあるツボです。両方の中指で左右の承扶を同時にお尻を持ち上げるようにして押します。
ツボ押しの効果を高めるには呼吸を意識しながらリラックスして行います。また、ツボ押しをした後は、血液の流れが良くなっているため、老廃物を排出するためにも水分補給をしましょう。
マタニティ整体や産婦人科に行く
自己流でマッサージしても痛みが緩和しにくいこともあるでしょう。妊婦専用のマタニティ整体に通ってプロの力を借りるのも一つです。坐骨神経痛に良いツボやマッサージでも、早産につながる可能性があるツボなど妊婦にはおすすめできないものもあります。
また、痛みが強い時は産婦人科で相談をしましょう。痛み止めの薬は、内服薬でも湿布でも妊婦には使えないものもあります。赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、自己判断で使用せず、妊婦でも使用できる薬を処方してもらいましょう。
坐骨神経痛を予防する方法は?
対処方法があるとはいえ、必ずしも改善するとは限りませんし、できれば痛みは経験したくないものです。日頃から姿勢に気をつけ、体を冷やさないようにするなど、坐骨神経痛を予防する方法についてご紹介します。
お尻に負担のない姿勢をとる
座る時は、背筋を伸ばして骨盤を立てるようにして座りましょう。坐骨に上半身の体重をしっかりのせることで、お尻の筋肉の負担が少なくなります。椅子に座るときは背もたれと腰の間にクッションを入れて安定させるのも良いでしょう。
あぐらをかくときは、骨盤が後ろに傾くと腰に負担がかかるため背筋を伸ばしましょう。お尻の後ろ半分に座布団を引くと骨盤が前に傾きやすくなるためおすすめです。
立っているときも背筋を伸ばし、腰を反らさないようにしましょう。お腹が大きくなると、バランスをとろうとして反り腰になりがちですが、顎を引いて肩の力を抜くと良いでしょう。
ただし、良い姿勢を心がけていても長時間同じ姿勢で座り続けると腰に負担がかかります。30分に一度は姿勢を変えるようにしましょう。
体を冷やさないようにする
妊娠中は、体の冷えによって血行不良になりやすいため、冷やさないように心がけましょう。首、手首、足首など「首」とつく部位は太い血管が通っているため、特に冷えやすい部位です。マフラーやストールを巻き、靴下を履くと良いでしょう。
特に明け方や起床時は、体が冷えることで坐骨神経痛が起こりやすくなります。寝ているときも下半身を冷やさないように、電気毛布やレッグウォーマーを活用しましょう。また、坐骨神経痛の症状が出たときに限らず、普段から温かい湯船に浸かって体を温める習慣をつけると良いでしょう。
骨盤ベルトを巻く
坐骨神経痛の予防に、骨盤ベルトを使うのも良いでしょう。大きくなったお腹を下から支えることで骨盤周りが安定し、腰への負担を軽減します。妊娠初期から産後も使用できるように、マタニティ用のサイズ調整できるものを用意しましょう。骨盤ベルトは毎日使用するものため、着脱しやすいものや通気性が良いものを選ぶのがおすすめです。
骨盤ベルトは、仙骨、恥骨結合、大転子の3点を通る位置につけます。正しい位置に装着することで効果を発揮する為、産院でつけ方を教えてもらうと良いでしょう。
まとめ
妊娠中は、ホルモンの分泌やお腹が大きくなることで、坐骨神経痛になることがあります。痛みそのものもとても辛いうえに、悪化してしまうと痛みで眠れなくなる、歩けなくなるなど他の症状をきたし、生活にも影響が出る可能性もあります。
妊娠中は、いつも常備している痛み止めが飲めないということもあり、痛みが強くなる前に早めに対処することをおすすめします。そして、日頃から姿勢を意識したり体を温めるようにしたりして、坐骨神経痛が起こらないように予防しましょう。