Article無痛分娩の事前準備|病院探しから入院時の流れまで
コラム 2024.08.30
「出産の痛みに耐えられなさそう」と思う方は多く、無痛分娩に興味がある方が増えています。しかし、無痛分娩のリスクや費用が気になる、何から始めて良いのかわからないと戸惑うこともあるでしょう。準備せずに出産日が近くなり、無痛分娩を実施している病院が予約でいっぱいで受けられなかったという経験をされた方もいらっしゃいます。
無痛分娩を選んで満足できる出産のためには、病院を探す、無痛分娩についてよく理解するなど事前の準備がとても大切です。この記事では妊娠後、無痛分娩をしたいと思った時に事前に準備しておくことをわかりやすくご紹介します。
無痛分娩とは
無痛分娩とは「麻酔薬を使用して痛みを和らげて出産すること」で、自然無痛分娩と計画無痛分娩があります。自然無痛分娩は、通常の分娩と同じように自然に陣痛が始まり分娩が進行したタイミングで麻酔薬を投与します。計画無痛分娩は、陣痛が始まる前の予定した日に陣痛促進剤により陣痛を誘発し、赤ちゃんの状態をみながら麻酔薬を投与します。
無痛分娩には「硬膜外麻酔」が用いられることが多く、背中からチューブを挿入して麻酔薬を投与します。無痛分娩を希望する場合は事前に情報を収集しメリットやデメリットを理解して、病院選びや準備を行いましょう。
無痛分娩をすると決めたときの事前準備
費用やメリットを知り無痛分娩をしようと決めたら、パートナーへの相談や受診する病院を探して出産の準備を進めていきましょう。
パートナーに相談する
無痛分娩を希望する場合は、事前にパートナーと相談しておくのが良いでしょう。子どもが生まれるということは、妊婦さんはもちろんパートナーにとっても一生に何度もない機会です。
無痛分娩によって体への負担が軽減されますが、それでも産後は体の休養のため、家事などパートナーに協力してもらう必要があります。無痛分娩のメリットやデメリットをパートナーにも理解してもらい、出産の準備や産後もサポートしてもらうと心強いです。「費用がかさむので迷っていたけれど、夫が後押ししてくれた」というお話もお聞きします。
パートナーが単身赴任、出産時に上の子を預けられる日が限られている場合などに、計画無痛分娩を選ばれる方もいらっしゃいます。里帰り出産を希望する場合は、パートナーだけでなく両親の都合も確認する必要があるため、なるべく早く相談しておくことをおすすめします。
病院を探して受診する
無痛分娩を行う病院がまだまだ少ないのが現状で、地域によっては近くに対応できる病院がないという場合もあります。陣痛や破水が起きた時になるべく早く入院できるよう、自宅の近くで無痛分娩が行える医療機関を探しましょう。
自宅から通える病院が複数ある場合は、希望するタイプの無痛分娩を行えるか確認しましょう。病院によって自然無痛分娩を勧められることや、計画無痛分娩を得意とする病院もあります。そのほか、出産にかかる費用、病院の評判や雰囲気などを確認して、病院を選びましょう。
出産までの準備
なるべく早く病院を受診し、無痛分娩について妊婦自身がよく理解して、出産時や産後のイメージを持って出産に臨めるよう準備しましょう。 受診したい病院が決まれば早めに予約をとって受診するようにします。
予約して病院へ受診する
週数が進むほど病院の変更は難しくなるため、病院の目星が立ったら早めに問い合わせして予約をとりましょう。病院のホームページに「無痛分娩をご希望の方は初診時にお伝えください」などと書いてあることがあるので確認しておきます。病院によっては、無痛分娩の専門外来や見学会・説明会がある場合もあります。
麻酔が可能かどうかの判断を受ける
病院では無痛分娩を行えるかどうか判断するため、既往歴やアレルギーの有無を確認します。無痛分娩では、「硬膜外麻酔」と呼ばれ背中から腰の辺りの針を刺して麻酔薬を注入するチューブを入れます。そのため背骨が変形している場合や、背中の神経に病気がある場合は無痛分娩を受けられないことがあります。
稀に麻酔薬のアレルギー反応が出ることがあり、麻酔薬にアレルギーのある方は無痛分娩を受けられないこともあります。今まで歯科治療などで麻酔薬にアレルギーが出た経験がある方は、事前に申告しましょう。血液が固まりにくい病気がある、薬を飲んでいる場合なども無痛分娩が可能かどうかや、事前に休薬の必要があるかなど医師が確認します。
説明会に参加する
病院で、無痛分娩のメリットやデメリット、入院や出産当日の流れについて事前に説明を受けます。個別で説明を受ける場合も、無痛分娩の教室に参加する場合もあり、パートナーも一緒に参加できることが多いです。メリットだけでなく副作用や合併症などリスクについても理解した上で決断しましょう。
無痛分娩は、痛みが抑えられますが、完全に痛みやそのほかの感覚がなくなるわけではありません。下腹部が張る感覚や圧迫感などがあり、なかにはいきむタイミングがわかりにくいと感じる方もいます。出産のときの姿勢や呼吸法・いきみ方など事前に知っておくことで、出産への不安を和らげることができるでしょう。
分娩日を決める
定期的に健診を受け、出産の時期が近づいてきたら、計画分娩の場合は入院日と分娩日を決めます。希望の出産日にある程度合わせることもありますが、母子ともに安全に出産できることが第一優先です。37週以降の健診の際に、医師が子宮口の開き具合や赤ちゃんの状態などをみて出産日を決定します。
自然無痛分娩の場合は、通常の自然分娩と同じように自然に陣痛が始まるのを待つため事前に出産日は決めません。陣痛が進んで10〜15分間隔くらいで来る、または破水した時点で入院をします。
出産当日の流れ
出産当日は、麻酔の投与により体の痛みや負担が軽減されること以外に自然分娩と大きく変わりません。ただ、入院から出産当日の流れについて知っておくことで、戸惑わず出産や赤ちゃんとの対面に集中できるでしょう。
入院
自然無痛分娩の場合は陣痛が始まったら、どのくらいの間隔でお腹の張りや痛みが出ているか測り病院へ連絡します。陣痛は徐々に間隔が短く痛みが強くなり、痛みを感じる範囲も広くなるにつれ、子宮口が開いてきて入院となります。計画無痛分娩の場合は分娩日の前日に入院します。
無痛分娩の場合でも、入院時の持ち物は基本的に自然分娩時と変わりませんが、病院によって備え付けの物などは異なります。持ち物リストに沿って、診察券や母子手帳・必要な書類やパジャマ・タオルやガーゼなどを持っていきます。
出産と麻酔の準備
胎児心拍計や心電図、血圧計などを装着し、お腹の張りや子宮口の開き、赤ちゃんの状態を確認します。その後、血圧低下を防ぐため点滴を行い、麻酔が始められるように背中から麻酔チューブを挿入します。麻酔チューブは、ベッドの上で横になり背中をネコのように丸めて硬膜外に針を刺して挿入します。
計画無痛分娩の場合は、人工的に陣痛を起こすためオキシトシンなどの陣痛促進剤を点滴で投与します。点滴後は数時間で陣痛が始まりますが、なかなか陣痛が始まらないこともあり様子をみながら投与します。
陣痛が強くなってきたら麻酔の投与を開始する
子宮口が4〜5cm開き、陣痛が強くなってくると麻酔薬を注入し痛みを和らげます。使用する麻酔薬の種類によっても異なりますが、麻酔を始めてから20〜30分程で効いてきて痛みが弱くなっていきます。麻酔が効いていても全く痛みがないということではなく、生理痛のような痛みがあると感じる方も多いようです。
痛みが強くなってくると麻酔薬を追加できることもあるため、我慢できないときは声をかけましょう。ただし、お腹のなかの赤ちゃんの向きや大きさによっては、麻酔薬の量をあまり増やせないこともあります。麻酔投与開始してから1〜1時間半は麻酔が切れやすくなってしまうため、時間経過をみて薬を追加します。
出産
子宮口が最大になるとゆっくりいきみながら出産しますが、麻酔により痛みが軽減されリラックしやすくなります。麻酔の影響で、いきむタイミングがわかりにくいこともありますが助産師がいきむタイミングを教えてくれます。麻酔薬で下半身の感覚がわかりにくくても、赤ちゃんが出てきた感覚がわかることも多いです。
赤ちゃんが生まれると母体と赤ちゃんの状態を確認し、問題なければ赤ちゃんとスキンシップを行います。その後、麻酔カテーテルを抜きますが、麻酔薬の投与を中止すると、数時間で徐々に痛みが出てくることがあるため、点滴や内服薬で痛みをコントロールすることもあります。
まとめ
出産時の痛みが抑えられることでリラックスして出産ができるため、無痛分娩にしたいと思う人は多いでしょう。無痛分娩を受けられる病院を探す、無痛分娩について勉強するなど準備することはいくつかあり、早めに取り掛かるのがおすすめです。
聖マリアクリニックでは、計画無痛分娩、自然無痛分娩ともに可能で、24時間365日無痛分娩の対応を行っています。当院で出産をお考えの方を対象に、「無痛分娩説明会」や専門の担当スタッフが個別にご案内する「院内見学ツアー」を実施しています。ご希望の方は、お電話でお問い合わせください。