Article陣痛とはどんな痛み?陣痛の痛みの強さや始まるタイミングについて解説
コラム 2025.02.23

臨月になると、赤ちゃんにもうすぐ会えるという喜びとともに、無事に出産できるか不安に感じることもある時期です。特に「陣痛に耐えられるか心配」「いつ病院に行けばいいの?」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、陣痛とは何か、どのような痛みなのか、起こるタイミングや出産に至る陣痛の兆しについて解説します。陣痛や病院への連絡のタイミングについても解説していますので、ぜひ本記事を参考にして安心して出産を迎えられるように準備してください。
陣痛とは?陣痛の起こる過程
陣痛は、赤ちゃんが生まれてくるために、産道へ押し出そうとして子宮の筋肉(子宮筋)が収縮することで起こります。子宮は収縮と休止を繰り返し、子宮が収縮する時にお腹の痛みや張りを感じるため、痛みのある陣痛発作と痛みがおさまる陣痛間欠を繰り返します。
プレ陣痛「前駆陣痛」
陣痛は、赤ちゃんが生まれるときに押し出そうとして子宮が収縮することで起こるため、赤ちゃんが成長するまでは起こりません。しかし、出産時の陣痛の前に、不規則なお腹の痛みや張りが起こることがあります。
これを「前駆陣痛」と言い、全ての妊婦に起こるわけではありませんが、臨月の妊娠36週以降に起こることが多いです。まだ赤ちゃんが生まれる陣痛ではないため、運動後にだけ起こったり、夜中だけに起こって朝には治ったりと、一時的なものです。本格的な陣痛に比べて痛みも弱く、「生理痛のような痛み」や「下痢のような痛み」と表現されています。
前駆陣痛があってから、出産に至る本陣痛までの時間は個人差があります。数時間で本陣痛が来ることもあれば、数日かかることもあります。
赤ちゃんが生まれてくるときの「本陣痛」
本陣痛は、初期の段階では20〜30分おきといったペースで現れます。そして、出産が近づいてくると、痛みのある陣痛発作と痛みのない陣痛間欠の間隔が短く規則的になり、痛みも強くなっていきます。
個人差はありますが、一般的に陣痛が始まってから出産まで、初産婦で12〜15時間程度、経産婦で6〜7時間程度かかると言われています。痛みの場所は、お腹や腰から始まり、赤ちゃんが産道を下りてくるに伴って、足の付け根やお尻など痛む場所がどんどんと下に変わっていきます。
出産後の子宮が元に戻るための「後陣痛」
出産が終わると赤ちゃんを押し出す役割は終わりますが、子宮が元の大きさに戻ろうとすることで子宮の収縮が起きる「後陣痛」があります。もともと妊娠前の子宮は、握り拳くらいの大きさしかありません。しかし、子宮は赤ちゃんの成長に合わせて大きくなり、羊水、胎盤も子宮の中に収まっているため、出産直前には長さ35cmほどととても大きくなっています。
後陣痛は、赤ちゃんが生まれた後から数日間をピークに痛みがあり、長ければ1カ月ほど続きます。生理痛程度に感じることもあれば、本陣痛を思い出すほど痛みあったという方もいます。出産によって体力を消耗していることや赤ちゃんのお世話で疲れていることで余計につらく感じることもあるでしょう。ただし、徐々に痛みは軽減していきます。マッサージや子宮周りを温めるなど対処して楽な姿勢でリラックスして過ごすとよいでしょう。
本陣痛はどんな強さの痛み?痛くなるのはお腹だけ?
出産時の陣痛は、それまで経験したことがないような痛みで比較できないという方も多いです。個人差もありますが、一般的には以下のように表現されます。
・鼻からスイカが出るような痛み
・指を切断されるのと同じくらいの痛み
・お腹を引き裂かれるような痛み
・ハンマーで殴られたような痛み
・生理痛を10倍くらい強くした痛み
痛みの感じ方には、体質や痛みの耐性などにより個人差があります。経産婦よりも初産婦の方が痛みを感じやすいと言われていますが、「2人目の方が痛かった」という方もいらっしゃいます。
陣痛はいつ来る?出産が近いサインは?
出産まで3週間を切ると、お腹が頻繁に張るようになったり、おりものが増えたり、胎動が少なくなったりします。そしていよいよ出産まで数日〜当日くらいの時期になると、おしるしや破水が見られ、陣痛が始まります。
痛みが10分間隔で規則的に起こる
妊娠37週を過ぎると、出産につながる本陣痛がいつ起きてもおかしくありません。お腹の張りや痛みが規則的になり、陣痛発作の間隔がどんどんと短くなって10分になると「陣痛が始まった」と言われる状態です。
陣痛が始まった頃はまだ子宮口は1cmほどしか開いておらず、赤ちゃんが出て来ることはできません。最初のうちは、規則的でなく前駆陣痛だったということもあります。出産につながる本陣痛なのか判断するためには、痛みが起こる間隔をしっかりと時計ではかり、記録するようにしましょう。
おしるし
出産の準備段階には、赤ちゃんが包まれている卵膜の一部が剥がれ落ちて出血する「おしるし」が見られることがあります。おりものに血が混じっていたり、トイレで拭いたときに血が付いていたりして気づくことが多いようですが、おしるしがみられないこともあります。
おしるしがあっても、まだすぐには陣痛や出産に至らず、数日ほどかかることが多いですが、当日に陣痛が始まることもあります。いつ陣痛が来てもいいように、遠出を控えて、入院準備などの最終確認をしておくとよいでしょう。
ただし、出血が止まらない場合や血の固まりが出てきた場合は、おしるしではなくトラブルが起きている可能性もあります。出血量が生理時の多いときくらいまでであれば正常の範囲であることが多いのですが、それ以上に出血がある場合は陣痛が来てなくてもすぐに病院に相談するようにしましょう。
前期破水
出産前に起こる兆候として、赤ちゃんが包まれている卵膜が破れて中の羊水が流れ出る「破水」があります。通常は、陣痛の間隔が短くなって子宮口が最大になる頃に起こるので、すでに入院をしているときに起こることが多いでしょう。
ただ、「前期破水」という陣痛が始まる前に破水が起こる場合もあります。卵膜の破れた部分によって流れ出る羊水の量はいろいろです。下着が濡れる程度のこともあれば、足をつたうほど流れることもあります。
破水をすると感染症のリスクが増えますが、多くの場合無事に出産をしているため、慌てず落ち着いて対処しましょう。破水したときは、夜間や休日でもすぐに病院に連絡して受診するようにします。
陣痛に関してのよくある質問
陣痛がどんな痛みか、発作の間隔、出産の兆候についてわかっても、うまく乗り切れるのか不安という方も多いでしょう。ここでは、陣痛に関連して妊婦さんがよく疑問に思われることをまとめました。
病院にはいつ連絡する?受診のタイミングは?
陣痛が起こったら、痛みの発作が起こる間隔を測ってメモを取るようにしましょう。初産婦は陣痛の間隔が10分、経産婦は15分ほどになったタイミングが病院へ連絡する目安です。ただし、妊娠の状態や病院の距離によってはもうしばらく待つように言わることや、もっと早めに来るように言われることもあるため、指示に従うようにしましょう。
病院に連絡するときは、以下のポイントを伝えるようにします。
・自分の名前や診察券の番号
・妊娠週数と予定日
・陣痛の始まった時刻と痛みの間隔
・出産が近づいている兆候(お腹の張り、おしるし、破水など)
・病院までの移動にかかる時間
陣痛のときはどうやって過ごす?乗り切るためのポイントは?
前駆陣痛のときは、まだ少し余裕があることも多いです。動けるうちから安静にしていると、痛みに意識が向いて余計につらくなりがちです。歩いたりストレッチしたり軽く体を動かすと分娩も進みやすくなります。普段通りの生活を送りながら、無理せずリラックスして過ごしましょう。
陣痛が本格化してきたら、痛みが少しずつ強くなっていきます。陣痛を我慢しようと体に力が入るとかえって痛みにつながってしまうこともあります。自分が楽に過ごせる姿勢を探して、パートナーにマッサージしてもらうのもよいでしょう。また、いきむときだけでなく陣痛が来たら深い呼吸を意識しましょう。リラックスするだけでなく赤ちゃんにも酸素が行き届きやすくなります。
陣痛を和らげる方法はあるの?
呼吸を意識したり、リラックスしたりすることで少し楽に過ごしやすくなるでしょう。しかし、これらの対処でも陣痛が劇的に軽くなるということはありません。痛みに弱い、耐えられるか自信がないという方は、「無痛分娩」を選ぶのも一つです。
無痛分娩は、出産前に麻酔薬を投与することで陣痛を和らげる出産方法です。無痛分娩は陣痛だけでなく、会陰縫合などの産科処置の痛みも抑えることができ、また出産時の体力の消耗を抑えて産後の育児に集中しやすいというメリットもあります。場合によって分娩時間が長くなることや稀に麻酔薬の副作用で、発熱や頭痛、排尿障害などの症状が現れることがあります。適切な処置によりトラブルは起きにくくなりますが、メリットとデメリットどちらも理解した上で検討するとよいでしょう。
無痛分娩についてはこちらのページで詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
https://totsuka-childbirth.com/about/
まとめ
陣痛のことを考えると不安になってしまうのは自然なことです。しかし陣痛を乗り越えた先には赤ちゃんと会える感動が待っています。痛みに弱い方や不安が拭えない方は、痛みを和らげる無痛分娩もあるため検討してみるとよいでしょう。
妊娠生活や出産について知識をつけることで不安が和らいだり、いざというときに病院へすぐ受診するなど対処したりできるでしょう。赤ちゃんに会えることをイメージしながら、妊娠や出産というかけがえのない時間をより安心して過ごしてください。