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Article妊娠初期でもできる運動は?避けた方がいい運動や注意点について解説

コラム 2025.02.23

妊娠初期運動

妊娠中は出産に備えて運動をした方がいいという話をよく聞くかと思います。ただし、妊娠初期は不安定な時期で、運動をしても大丈夫か気になるという方も多いでしょう。運動をしたことがきっかけで流産になってしまわないか心配になるかもしれません。

 

本記事では、妊娠初期に運動してもいいか、どんなときにしない方がいいかを解説します。

運動するときの注意点や運動することのメリット、妊娠中におすすめの運動の種類についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。

 

妊娠初期でも運動していい? 

妊娠初期の4カ月くらいまではまだ胎盤が出来上がっておらず、ホルモンバランスによる体調の変化もあるため、不安定な時期です。この時期は特に、激しい運動ややったことのない運動をするなど慣れないことはおすすめできません。

 

とはいえ、健康で妊娠経過が順調の場合、軽い運動であれば運動して問題ないことがほとんどです。必ず医師に運動していいか相談してから始めるようにしましょう。軽い運動にすること、体調が悪いときは休むようにするなど無理をしないことが重要です。

 

運動をしない方がいい人、注意が必要な人は?

過去に流産の経験がある場合や、妊娠合併症がある場合などは、医師から「運動してはいけない」と指示が出ることがあります。以下に当てはまる方は、特に注意が必要です。

 

・流産、早産したことがある

・妊娠合併症(妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など)がある

・双子以上の多胎妊娠

・赤ちゃんの発育に異常が見られる

・もともとの病気がある

 

上記に該当する場合でも、必ずしも運動ができないわけではなく、症状や妊娠時期によってはむしろ取り入れた方がいいこともあります。しかしながらウォーキングなどの軽い運動でも避けて、日常生活でもゆっくり歩くようにした方がいいと言われることも少なくありません。運動に限らず、日常生活についても医師に相談して、無理をしないように気をつけましょう。

 

どれくらいの強度の運動ならできる?

妊娠の経過が順調で特に病気がない場合でも、激しい運動は禁物です。日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会による「妊婦スポーツの安全管理基準(2019)」によると、妊娠中の運動強度については、以下のように示されています。

 

・心拍数が 150回/分以下

・「ややきつい」と感じる程度までに留める

(連続した運動は「やや楽」と感じる程度まで)

・週2~3回、1回の運動時間は60分まで

 

特に妊娠初期は慣れない運動は避けて、妊娠前から習慣にしていた運動を行うことをおすすめします。妊娠前に運動習慣がなかった方は、妊娠初期に新しく運動を始めるのは避けて、散歩など日常生活の延長で無理せず行うか、妊娠中期から行う方がよいでしょう。

 

また、時間帯については、お腹が張りにくい午前10時〜午後2時の間に行うことが望ましいとされています。

 

 

妊娠中に運動するメリットは?

運動しない方がいいケースや、激しい運動は避けた方がいいことについて解説しましたが、基本的に無理のない範囲での運動はメリットがたくさんあります。体力をつけることや、不調の予防になるなど体の面だけでなく、ストレス解消になって精神的にもいい影響があります。メリットを理解しておくと、運動を行うモチベーションにもつながるでしょう。

 

体力をつけることができる

出産は、平均的に初産で10〜12時間、経産婦で4〜6時間かかると言われており、体力勝負です。妊娠中に何もしないでいると体力はどんどんと落ちてしまうため、妊娠中から運動を取り入れて体力をつけておくのがよいでしょう。

 

出産時の体力の消耗は激しく、産後に妊娠前と同じくらいまで体力が回復するには数カ月かかると言われているほどです。出産に向けて体力をつけておきたいのはもちろんですが、産後の育児に集中できるようにするためにも、妊娠中から体力が落ちないように運動をしておくとよいでしょう。

 

気分転換やストレス解消になる

妊娠すると、体調の変化や生活環境の変化で思うように動けずストレスもたまりやすくなります。特に妊娠初期はホルモンバランスやつわりの影響で、不調から気が沈むという方も少なくありません。ストレスが過剰になると、全身の血流が悪くなりさまざまな不調にもつながりがちです。

 

運動を行うことで、気分転換やストレス解消に取り組みましょう。自分が心地よいと思える程度で行うことが継続のコツです。なかには、運動を行うことでつわりが軽くなったという方もいらっしゃいます。自分が元気に調子よく過ごせるような運動を試してみてください。

 

体重のコントロールや妊娠合併症の予防になる

妊娠するとホルモンバランスの影響で食事量が増減すること、味の好みが変わることがあります。妊娠初期はつわりによって食欲不振になる方が多いのですが、なかには食欲が増すという方もいます。また、つわりがおさまった頃に食欲が増えるという方もいて、ついつい食べ過ぎてしまうことも少なくありません。

 

体重が増えすぎてしまうと、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症のリスクが上昇します。合併症が重篤になると、早産や出産時に命にかかわることにもなりかねません。食事に気をつけるだけでなく運動も行うことで、体重のコントロールや、妊娠合併症を予防しましょう。特に合併症になった後には、運動制限がかかって安静に過ごさなければならない場合もあります。できれば調子が悪くなる前に、医師と相談の上、運動を取り入れましょう。

 

むくみや腰痛、便秘などの不調の予防になる

妊娠中は、分泌されるホルモンの変化や血液量の変化、お腹が大きくなることによって、さまざまな不調をきたしやすい状態です。むくみや腰痛、便秘などの不調は、運動を行うことで症状の緩和を期待できるでしょう。

 

むくみは、運動によって足や全身の血流が良くなることで生じにくくなります。腰痛や恥骨痛は、お腹が大きくなる妊娠後期だけでなく、ホルモンの影響で妊娠初期から症状があるという方も少なくありません。ストレッチなどの運動を取り入れて腰回りの筋肉がほぐれることで改善しやすくなるでしょう。

 

また、つわりの影響で摂取する食事や水分の量が減ることやプロゲステロンの影響で便秘になりやすいという方も多いです。運動不足は、腸の動きをさらに低下させてしまいます。適度な運動を行うことで排便を促すようにしましょう。

 

妊娠中の運動で気をつけることは?

実際に妊娠中に運動を行う場合は、危険な運動や子宮を圧迫するような運動を避け、体調に気をつけながら行う必要があります。ここでは、妊娠中の運動を行うにあたって注意するポイントをご紹介します。

 

危険な運動は避ける

ボルダリングのように落ちる、スキーやスケートのように転倒する恐れのあるスポーツは危険です。また、人や物とぶつかる可能性のあるバレーボールやバスケットボールなども避けるようにしましょう。またテニスやゴルフのようにお腹をひねる運動もよくありません。

 

競技性のあるスポーツや団体で行うスポーツは、熱中することや周りに合わせることで、お腹に気を払うのが難しくなることもあります。

 

激しいスポーツを行うことで出血することや、お腹への衝撃によって胎盤が妊娠中に剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」になる危険性があります。胎盤が剥がれてしまうと赤ちゃんに酸素が行き届かず、流産してしまうかもしれません。赤ちゃんをかばってけがをしてしまうこともあるため、危険なスポーツは避けるようにしましょう。

 

無理をせず違和感があれば中止する

健康で運動前は特に不調がない方でも、運動中に気分が悪くなることも少なくありません。妊娠中は貧血になりやすいことや、運動によってお腹の張りを感じることがあります。病気や妊娠の異常である可能性や、そのまま継続することで倒れてしまう可能性があります。

 

少しでも体調が悪いと感じるときや、いつもと違うと思ったときはすぐに運動を中止するようにしましょう。真夏の炎天下での運動は避ける、こまめに水分補給するなど体の様子に気をつかってください。途中で中止できるように家の近くで散歩する、家族に付き添ってもらうなど工夫するとよいでしょう。

 

妊娠中におすすめの運動は?

妊婦におすすめの運動は以下の通りです。

 

・ウォーキング

・マタニティヨガ

・マタニティスイミング

 

ウォーキングは、思い立ったときに道具も必要なく始めることができます。足が安定する靴を履きましょう。

 

ヨガは呼吸を整えて精神を集中させるため、ストレス解消になるだけでなく、陣痛時のいきみやリラックスにも役に立つでしょう。転倒しないように注意し、心臓や胎児に負担がかかりやすいホットヨガは避けてください。

 

マタニティスイミングは、水の浮力によってお腹の重さをあまり感じませんが、水の抵抗によって筋肉に負荷をかけて、効果的に運動を行うことがきます。

 

マタニティヨガやマタニティスイミングの教室を利用すると、妊婦にとって負担の少ない姿勢や適切な負荷を教えてもらうことができ、他の妊婦さんとの交流にもなります。

 

まとめ

妊娠初期は不安定な時期ですが、健康で妊娠の経過が順調な場合、今まで継続していた運動や軽い運動なら行うことができます。ただし、妊娠合併症がある場合や双子を妊娠しているなどの場合は、運動できないこともあるので、必ず主治医に相談にしてから始めましょう。そして危険な運動は避け、体調やお腹の張りに気をつかいながら、無理をせずに行うことが大切です。

 

運動を続けることで体力がつくことや、腰痛や便秘などの不調を予防するなどメリットも多いです。妊娠中のストレス解消にもなるため、ぜひ、心地よいと思えるような運動を取り入れてください。

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