Article性交時の痛みの原因は?出産後に起こる性交時の痛みの解消方法を紹介
コラム 2025.01.22

「性交時に痛みがあってつらい」「出産してセックスをしたくなくなった」ということはありませんか。性交痛は、5〜10人に1人の女性が経験していると言われており、珍しいことではありません。
また出産してから日がたっていないと、ホルモンバランスの変化や、育児による疲れの影響で、その気に慣れない、膣が漏れにくくなるといったことが増えて、性交痛が起こりやすくなります。
本記事では、出産後に生じやすい性交痛について原因や対処方法を解説します。痛みを我慢することなくパートナーと円満に過ごせるようにぜひ本記事を参考にしてください。
性交による膣の痛みの場所
性交によって生じる痛みは、膣の入口など浅い場所のこともあれば、膣の奥の方で生じていることもあります。
・入り口や浅い部分の痛み
痛くて挿入できない場合は、外陰部や陰唇など入口やその周辺で痛みが生じています。前戯の不足や、心理的な緊張、膣のうるおい不足の状態で、男性性器による摩擦や刺激が原因で起こります。
・膣の内側や膣より奥の痛み
膣の乾燥が進むと入口だけでなく内側も乾燥することで、ヒリヒリする、擦れて痛いという状態になりがちです。またピストン運動によって、膣の奥の方や子宮が痛いということもあります。膣の奥に激しい痛みがある場合は、子宮の病気の可能性もあります。
出産後に性交痛が生じる原因
前戯の不足やもともとの体質などに加えて、出産後は会陰切開の傷やホルモンバランスの変化などにより、性交痛を起こしやすい要因があります。また心理的にも変化がある方も多いでしょう。ここでは、出産後に性交痛が起こる原因について紹介します。
授乳期のホルモンバランスの変化
授乳期は、母乳をつくるためにプロラクチンというホルモンが増える影響で、エストロゲンの分泌が低下します。エストロゲンは、膣の粘膜を健康に保つ役割をしています。
そのため、エストロゲンが低下することで、膣粘膜が薄くなり、乾燥しやすくなります。濡れにくく、不快感やかゆみ、炎症を起こすこともあります。
妊娠前のホルモンバランスに戻るまで、母乳育児が終わってから、3カ月ほどかかると言われています。それまでは濡れにくさを感じるかもしれません。
会陰切開の傷の痛み
出産時に会陰裂傷してしまった方や、会陰切開をした方もいるでしょう。傷は産後1カ月くらいで治ることが多いため、性交する際には治癒していることが多いと思われます。
しかし、縫合した傷痕は、瘢痕組織(はこんそしき)が形成されて、柔軟性が低くなります。性交時に、つっぱった感じなど違和感を覚えることや、痛みが生じる原因になってしまいます。
精神的なストレスや緊張
膣はとてもデリケートな場所です。緊張や不安など、精神的なストレスを感じると、うるおいにくくなります。また、リラックスできないと筋肉が緊張を起こして痛みを感じやすくなります。
産後の疲れ、育児の疲れなどによって、性交する気になれないということもあるでしょう。なかには、出産を経験したことをきっかけに、しばらくは妊娠や出産をしたいと思っていない方もいらっしゃるかもしれません。
子宮や膣の病気
子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などの病気によって性交痛が生じることもあります。子宮内膜症は、子宮内の細胞が子宮外に発生している状態で、周囲の臓器の癒着や炎症を起こします。子宮筋腫は子宮の筋層に瘤ができ、卵巣嚢腫は卵巣に瘤ができます。
病変のある部分が挿入時やピストン時にひきつることや、ホルモンバランスが変化して膣が濡れにくくなることで痛みを生じます。これらの子宮や卵巣の病気は、性交痛以外に月経時や排便時に痛みが強くなる傾向にあり、不正出血がみられることもあります。しかし、初期の段階では自覚症状がないことも多く、なかなか気づかないこともあります。
また、出産後は免疫力が低下しており、感染症にかかりやすい状態です。痛みの原因が、クラミジアやトリコモナス、膣カンジダなどの性感染症である場合も考えられます。性感染症の場合、膣に炎症が起こることで激しい痛みを生じることもありますが、一方で、自覚症状がないこともあります。
性交による痛みの緩和方法や注意点
痛みが起こらないように性交時にできることや、注意すべきことを紹介します。パートナーに理解を得て、一緒に取り組みましょう。
潤滑ゼリーを使用する
エストロゲンの低下や心理的な負担によって、膣は乾燥しやすく漏れにくくなります。根本的な解決とあわせて、潤滑ゼリーでうるおいを補うと良いでしょう。
低刺激のものやホットジェルなどもあり、香りやテクスチャはさまざまです。うるおい不足の場合は、水溶性のゼリーを選ぶと良いでしょう。香りが強いと気分が悪くなりやすい方は無香料がおすすめです。好みもあるため、いろいろと試してみてください。
なお、潤滑ゼリーと混同しがちなローションは、肌と肌の接触時に使う全身用のため膣に使用するのには適していません。ローションに含まれる「ポリアクリル酸ナトリウム」によって内の水分が吸収されて、性交痛がひどくなることがあります。また、ローションにはぬめりがあり、水で流しても落ちにくいことも多いです。膣の中に残ることで感染症を起こしやすくなるため、膣には使用しないようにしましょう。
パートナーと話し合って理解を得る
痛みがあるのに、我慢をしたまま性交を行うことでより膣が傷つきやすくなります。また、痛みによって心理的にも負担が大きくなり、より性的な興奮が起こりにくく濡れにくくなります。
パートナーに相談して、痛くないように丁寧に前戯を行ってもらう、雰囲気をつくるなど工夫すると良いでしょう。挿入時の体位によっても痛みを感じにくくなることもあるので、お互いが気持ち良くなる体位を探してみるのもおすすめです。特に奥に痛みがある場合は、挿入が深くなる後背位(バック)は避けた方が良いでしょう。
また会陰切開した傷が痛む場合は、落ち着くまで待ってもらうなどの対処も必要です。性交について不安や緊張がある場合は、負担に感じていることを話して理解してもらい、性交の頻度についても相談してみましょう。
痛みが改善せず、原因がわからない場合は、産婦人科や心療内科でのカウンセリングも検討してみてください。2人では原因に気づかなかったことでも、専門家に相談することで解消しやすくなります。
病気が疑われるときは早めに病院を受診する
性交痛に対して対処しても解消されない場合や痛みが強い場合、他に症状がある場合は、病気の可能性があります。子宮の病気は治療せず放置することで不妊になることもあります。子宮筋腫も卵巣嚢腫も良性であることが多いですが、がん化しても気づきにくいため、注意しなければなりません。
性感染症においても、放置して改善しないため治療を受ける必要があります。性交時の痛みで悩んでいる場合だけでなく、おりものの量が多い、色や臭いが違う、不正出血がある場合などはすぐに病院を受診しましょう。
まとめ
性交痛を解決するには、パートナーの理解や協力が欠かせません。性交痛があることや、性交に対して前向きになれないことを伝えるのは、勇気がいることだと思います。なかなか言い出せなくて困っているという方も多いかもしれません。
ただ、お互いの気持ちや現状を正直に話し合うことで信頼関係が深まることもあるでしょう。これからの長い夫婦生活をより円満にするためにも、一人で抱え込まず、ぜひお二人でより良い方法を探してみてください。
原因がわからない場合はカウンセリングを受けるのも一つです。違和感があって病気かもしれないと思った場合は、産婦人科を受診しましょう。