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Article妊娠中の恥骨痛|骨盤周りの痛みはなぜ起こる?原因や対処方法を解説

コラム 2024.12.15

恥骨が痛い妊婦

 

妊娠中に、股の辺りの恥骨がズキズキと痛くて辛いという人も多いのではないでしょうか。妊娠中は、ホルモンの影響やお腹が大きくなることで下半身に負担がかかり、恥骨痛を生じることがあります。

 

歩けないほど痛いことや、足の付け根辺りまで痛みが広がることもあり、日常生活に支障をきたしているかもしれません。本記事では恥骨痛の症状や原因、対処方法について詳しく解説します。ご自身ですぐに取り組めることもありますので、ぜひ参考にしてください。

 

恥骨痛の症状

恥骨は骨盤の前側にある骨で、アンダーヘアの生え際辺りにあります。妊娠中に起こる恥骨痛の症状は以下の通りです。

 

・恥骨にズキズキとした痛みがある

・立ち上がったときや動き始めに痛みが強い

・寝返りをうつと痛い

・歩くと痛い(歩けないほど痛い)

・踏ん張ると痛む 

 

恥骨痛といっても、痛みの感じ方や痛みが出るタイミングも様々です。足の付け根辺りに痛みを感じることもあります。妊娠初期から痛みを感じる人もいれば、お腹が大きくなってきてから痛みを生じる人や産後に症状が出る人もいます。

 

妊娠中に恥骨痛になる原因

恥骨は左右に1ずつあり、真ん中にある軟骨組織の恥骨結合でつながっています。体重を支えたり、内臓を守ったりする役割があります。妊娠にともなって恥骨結合が緩むことや恥骨結合に負担がかかることで炎症を起こし、痛みが生じます。

 

妊娠前は痛みがなかったのに妊娠してから恥骨痛が現れたという人も多いと思います。まずは、恥骨痛になる原因について解説します。

 

「リラキシン」の影響

妊娠すると初期2ヶ月くらいから「リラキシン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。リラキシンは出産に向けて骨盤周りの関節や筋肉、恥骨結合を緩める作用があります。赤ちゃんが生まれて来るときに産道を通りやすいようにするために欠かせないホルモンです。

 

しかし、関節が柔軟になることで骨盤が不安定になり、恥骨に負担がかかることで恥骨痛の原因になります。出産によって広がった骨盤が元の位置に戻るためにリラキシンは産後も分泌が続き、痛みが長続きすることがあります。

 

赤ちゃんや子宮が大きくなる

赤ちゃんが成長するにつれて子宮も大きくなります。骨盤にかかる重みも増え、恥骨が圧迫されて恥骨痛が生じることも多いでしょう。そのためお腹が大きくなってきた妊娠25週頃から恥骨痛が現れたという人も少なくありません。

 

足の痺れも同様に、大きくなった子宮によって下肢の神経が圧迫されることによって起こります。

 

また、お腹が大きくなり前に出てくることでバランスを取るため、反り腰になりがちです。反り腰は、骨盤が前傾することで恥骨結合に負担がかかる姿勢です。

 

骨盤の歪みや骨盤底筋群の低下

妊娠前から左右どちらかに体重をかけた姿勢を取る、足を組む癖がある、横座りをするなどの習慣があると骨盤に歪みが生じている可能性があります。妊娠前は症状がなくとも、歪んでいた骨盤が妊娠の影響でさらにゆるむことによって恥骨に負担がかかりやすくなります。

 

また、妊娠中の運動不足などにより骨盤を支える骨盤底筋の筋力が低下している可能性もあります。より骨盤周りが不安定になり、恥骨痛の原因となります。

 

恥骨痛があるときの対処方法

恥骨痛がひどいと動きたくないのはもちろんのこと、寝返りをうっても痛ければ日常生活を送るのも辛いでしょう。すぐに改善したいときやこれ以上痛みを悪化させたくないときの対処方法について紹介します。

 

安静にする

恥骨痛の基本となる対処方法は「安静」です。安静にするときはさらに骨盤に歪みが生じないように、姿勢にも注意が必要。寝るときは仰向け、椅子に座るときは背筋を伸ばして背もたれにもたれないようにしましょう。恥骨への負担を分散させるためにクッションを使用するのも良いでしょう。

 

恥骨周辺に負担をかけるような激しい運動をしないのはもちろんですが、家事や育児など普段の生活でも無理をしないことが大切です。特に、重たい物を持つことは、お腹に力が入り恥骨結合や周囲の筋肉にも負担がかかるため、避けましょう。

 

温める

骨盤周りの筋肉が凝ることで痛みが強くなることがあります。温めることで筋肉の緊張をほぐして痛みを緩和させましょう。特に内腿の筋肉は恥骨と繋がっているため、温めるのにおすすめの場所です。

 

湯船に浸かって全身を温めるのも良いでしょう。ただし妊娠中は、のぼせやすいため長湯は避けましょう。カイロは便利ですが低温やけどに注意です。普段から腹巻きや温かい食べ物、軽い運動など、冷え予防も行うようにしましょう。

 

骨盤ベルトを使う

恥骨痛の予防や緩和には、骨盤ベルトがおすすめです。骨盤を安定させてくれるため、腰痛予防にもなります。リラキシンが分泌され始める妊娠初期から使い始めると良いでしょう。

 

正しい位置に装着しないと効果がなくなってしまいます。仰向けに寝た状態で内臓を正しい位置に戻してから装着しましょう。大転子にベルトの中心が通るようにして、仙骨を覆うようにして巻きます。細かいつけ方は商品によっても異なるので、購入店や妊婦健診の際に助産師につけ方を教わると良いでしょう。

 

骨盤ベルトはきつく巻きすぎると、血流が滞ってしまうため注意しましょう。お尻側はしっかりと支えるように巻き、お腹側は手の平が入るくらい余裕をもたせます。

 

産婦人科や整体を受診する

痛みを抑えるために、痛み止めの内服薬や湿布薬を使用したいと考えると思いますが、妊娠中には使用できない薬もあります。赤ちゃんに影響を与える成分などのあるため、自己判断での薬の使用は避け、かかりつけの産婦人科で相談をしましょう。

 

マタニティ整体で施術を受けるのもおすすめです。ただ痛みの軽減だけを行うのではなく、骨盤のズレや歪みを整えてくれます。恥骨痛以外に妊娠中に生じやすいお尻の痛みや腰痛、むくみなども改善できる可能性があります。自宅でできるストレッチやマッサージを教わってセルフケアをするのも良いでしょう。

 

恥骨痛に関連したよくある質問

辛い恥骨痛を緩和したり、予防したりするためにはいろいろと試したいという人もいらっしゃると思います。ここでは、恥骨痛に関連してよくある質問についてまとめました。

 

寝ているときも骨盤ベルトはしてもいい?

骨盤ベルトは、長時間使用することで血流が悪くなることや皮膚トラブルを起こすことがあるため、基本的に寝ているときには外します。

 

ただし、寝ている間も装着した方が楽に過ごせるということもあるでしょう。その場合は、就寝時に使用できるタイプの骨盤ベルトを選ぶようにします。締め付けすぎないように注意して、気分がすぐれないときは外すようにします。

 

ストレッチは自己流でもいい?

恥骨痛は産後も続くことがあり、ストレッチは一時的に痛みを緩和するだけでなく、骨盤底筋群を鍛えるなど根本から解決する上でおすすめの方法です。筋肉の緊張を和らげることや血流を良くすることで、腰痛や肩こりなどにも効果があります。

 

ただし、自己流のストレッチはおすすめできません。腰を捻る動きや転倒しやすい不安定な姿勢は避けましょう。お腹が大きくなるにつれ、うつ伏せや前屈みの姿勢を取ることで子宮に負担がかかります。主治医に相談の上、無理はせず、お腹が張ってきたら適度に休むようにしましょう。

 

妊娠中に骨盤の矯正はしてもいい?

妊娠中に恥骨痛が現れたことをきっかけに、骨盤が歪んでいたことに気がついて矯正したいと思う人も多いでしょう。妊娠中は、リラキシンの分泌によって骨盤がゆるむことで恥骨痛が生じやすい時期ですが、一方で歪んだ骨盤を整えやすい時期であるともいえます。

 

しかし、ホルモンバランスの変わる妊娠初期や、整体の刺激により流産や早産を引き起こす可能性のある妊娠後期に整体を受けることはできません。妊娠16週目以降の安定期からお腹の大きくなるまでに行うのが良いでしょう。妊娠の状態も人によってそれぞれのため、必ず産婦人科で主治医に確認をし、整体の先生にも妊娠中であることを伝えて受けるようにしましょう。

 

まとめ

恥骨痛が強いと普段の生活を過ごすだけでも辛いと思います。家事や育児に忙しいと後回しになってしまうかもしれませんが、妊娠が進むにつれて、痛みがひどくなることもあります。産後も痛みは続くことがあるため、早めに対処をしましょう。

 

また、妊娠中にはできない姿勢や内服できない薬もあります。自己判断での対処は避けて、必ず主治医に相談するようにしましょう。骨盤ベルトを使用することや温めて血流を良くすることなどは、恥骨痛だけでなく腰痛など他の痛みの予防やストレスの緩和にも効果的です。ぜひ、ご自身に合った方法を探してより快適なマタニティライフを過ごしてください。

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