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Article無痛分娩は後悔する?後悔しない無痛分娩のためにできることや心構え

コラム 2024.10.11

痛みを我慢する妊婦

出産時の痛みは「スイカが鼻の穴から出るほど」と例えられ、少しでも痛みを緩和したいと、無痛分娩を選択する人が増えています。無痛分娩は認知度が高まっているものの、自然分娩の方が実施される割合が高く、詳しく知らないという方も多いと思います。無痛分娩のイメージが湧かない、無痛分娩を受けて後悔しないかと心配に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

痛みが全くないと思っていたのに痛みがあったなど残念に思われるケースもあります。本記事では、無痛分娩を選んで後悔した理由や後悔しないための心構え、対策についてご紹介します。納得のいく出産のために、ぜひ本記事を参考にしてください。

無痛分娩を後悔した理由

せっかく、無痛分娩に対応している施設を探して、費用をかけて無痛分娩をするのに、後悔はしたくないものです。事前に対策できるように、まずは、無痛分娩を受けた方が後悔した理由について紹介します。

 

痛みが完全になくならない

無痛分娩は、出産の前に背中の辺りにカテーテルを挿入し、そこから麻酔薬を投与することによって出産時の痛みを緩和します。「無痛」と言われていますが、全く痛みや感覚がないわけではなく「和痛分娩」と言われることもあります。全く痛みがない状態で出産ができると思っていると、痛みが強かったと感じる方もいらっしゃるでしょう。

 

麻酔薬は陣痛が始まったらすぐに投与するのではなく、分娩の進捗を見ながら投与します。そのため、麻酔薬を投与するまでは通常分娩と同じように陣痛があります。また、麻酔薬の効果には個人差があります。母子の状態を見ながら麻酔薬を増やすこともできるため、痛みが強いときはスタッフに相談するようにしましょう。

 

また、麻酔薬を投与するカテーテルの挿入の処置は、医療行為の中でも複雑な手技を必要とします。背中が曲がっているなど、カテーテルが上手く入りづらい場合もあり麻酔薬が効かず、場合によって再度カテーテルを挿入し直すこともあります。

 

費用がかかる

無痛分娩では、通常分娩の費用に追加して、15〜20万円ほど費用がかかります。無痛分娩に限らず、出産にかかる費用は基本的に自費です。母子の健康状態によって入院期間が伸びて、思ったより費用がかかるなど予定外の出費があることも考えられるでしょう。

 

思ったより費用がかかって、後で無痛分娩にせず痛みを我慢しておけば良かったと思うケースもゼロではないでしょう。とはいえ、無痛分娩を選択することによって、出産時の体力の消耗が抑えられるというメリットがあります。産後の回復が早いため、場合によっては入院期間が短くなった、職場への復帰が早くできたというケースもあります。無痛分娩が非経済的かというと、一概に言えません。

 

苦労した感じがしなかった

無痛分娩のおかげで痛みに苦しまず、体力の消耗も抑えられ、思ったより負担が少なく出産ができたと感じる方は多いです。しかし、なかには痛みを体感した方が良かったのではないかと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

「お腹を痛めて産んだ子どもはかわいい」「一度は出産の痛みを経験した方がいい」という考えをお持ちの方もいらっしゃいます。痛みによって、愛情に関わるホルモンが増加する、母子の人格形成に影響するといった医学的な根拠はありません。

 

むしろ無痛分娩によって気持ちにも余裕ができて赤ちゃんとの初めての対面に集中できて良かったという声もお聞きします。痛みは美徳と考えられがちですが、本来は苦痛なことで緩和したいと思うのは自然なことです。

 

家族から非難を受けた

無痛分娩が少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ数が少ないのが現状です。妊婦本人が無痛分娩について知識を持っていても、家族はそれほど知らないという場合も多いと思います。

 

残念ながら、自然分娩を経験した人に「無痛分娩は甘え」という考え方をお持ちの方もいらっしゃいます。費用がかかることもあり、パートナーや家族の理解が得られず、後から非難を受けてしまったというケースもあります。

 

出産に関する価値観は人それぞれのため、全ての人に理解してもらうことは難しいことかもしれません。しかし、無痛分娩のメリットを出産前から家族にも知ってもらうことで理解を得やすくなります。むしろ、パートナーから無痛分娩を後押しされて決断できたという方もいらっしゃいます。

 

無痛分娩を選ばなかったことで後悔することも

無痛分娩にはメリットがたくさんあり、無痛分娩を受けるよりも受けないことで後悔することの方が多いようです。ここでは、無痛分娩を受けずに後悔した理由をご紹介します。

 

思ったより痛みが強かった

出産時の痛みはかなり強く、想像していた以上だったと感じる方が多いようです。出産の途中であまりの痛みに我慢できず、無痛分娩にして欲しいと思ったという声もお聞きします。しかし、出産の途中では、無痛分娩に切り替えられないことがほとんどです。

 

一度出産の痛みを経験した方が、もう一度あの痛みを我慢するなら2人目の子どもは諦めていたという方もいらっしゃいます。そのような場合でも、無痛分娩があったことで2人目の子どもを授かる選択ができたという方もいらっしゃるほどです。もちろん、初産婦でも無痛分娩を選択することができます。

 

産後の体力がなかなか回復せずに辛かった

出産では、フルマラソンに例えられるくらい気力や体力を消耗します。出産前の体力に戻るまで、数か月かかるのが一般的で、産後すぐは起き上がることさえ辛いという方も少なくありません。そのような状態で、赤ちゃんに母乳をあげたり、オムツを変えたり、夜泣きの度に寝かしつけたりするのは大変なことです。

 

無痛分娩では、痛みを抑えることで、気力や体力の消耗も抑えられます。通常分娩に比べて、産後の体力の回復も早くなります。育児はもちろん自分の身の回りのことにも集中しやすくなるでしょう。通常分娩の後、2人目以降の出産で無痛分娩を選択された方は「はじめから無痛分娩を選択しておけば良かった」と思われるケースもあるようです。

後悔しない無痛分娩のための心構え

後悔せずに無痛分娩を受けるためには、事前に無痛分娩の知識をつけ、施設選びや予算立てなどの準備が大切です。納得のいく出産をするためにも、必要なことを確認しておきましょう。

 

痛みが完全になくなるわけではないことを理解しておく

無痛分娩では、出産時の痛みを1/10〜3/10程度に抑えることができると言われています。しかし、全くなくなるわけではなく、あくまで「和痛」であることを覚えておきましょう。

 

また、意識があり下半身の感覚もあるため、赤ちゃんが下りてくるのがわかり、子どもを産んだという実感が得やすくなります。ただ、いきむタイミングがわかりづらいという方もいらっしゃるため、助産時に合図してもらいながらいきみます。

 

麻酔のカテーテルの挿入や、麻酔の管理はできれば経験豊富な医師に対応してもらいたいと思うのが当然でしょう。産科医とは別に麻酔科医のいる施設や、無痛分娩を実施している件数が多い施設を選ぶと良いでしょう。

 

夜間や休日でも対応してくれる病院を選ぶ

無痛分娩を確実に受けるためには、対応している施設を探しておくことが大切です。一つの施設で受け入れられる件数が限られていて、予約がいっぱいということもあり得るため、早めに病院を予約するようにしましょう。

 

特に陣痛が来たタイミングで、麻酔薬を投与して出産を行う自然無痛分娩の場合、出産のタイミングがいつになるかわかりません。夜間や休日は麻酔科医がおらず、無痛分娩が受けられなかったというケースもあります。24時間365日、無痛分娩に対応している病院を選ぶと安心でしょう。

 

出産や無痛分娩にかかる費用を計画立てておく

無痛分娩には通常分娩に追加して15〜20万円ほど費用がかかり保険も適用されません。ただし、出産に関しての手当を受け取ることもできます。健康保険に加入していると出産育児一時金を、就業をしていた方は出産手当が支給されます。

 

妊娠中から検診の費用がかかり、産後もすぐにベビー用品やオムツ代など費用がかさみます。子どもの将来のための費用を考えると、少しでも出産費用を抑えたいと考える方が多いでしょう。ただし、産後の体力の回復なども視野に入れて考える方がより経済的です。「手当金があるなら、無痛分娩を選んでおけば良かった」と悔やむことがないように、しっかり予算立てをしておきましょう。

まとめ

たしかに無痛分娩には費用がかかり、全く痛みがないという訳ではありません。なかには、家族から理解を得られず辛い思いをされて後悔したという方もいらっしゃるかと思います。

 

ただし、無痛分娩は出産時の痛みを1/10〜3/10程度に抑えられ、産後の体力の回復も早くなります。無痛分娩を受けた多くの方が、「選んで良かった」と感じられています。費用がかさむ、家族の理解が得られないといった問題は、あらかじめ知識をつけ、準備をしておくことで解決することもあります。出産時の痛みについても、我慢できない時は状態をみて、麻酔薬を追加してもらうこともできます。ぜひ、納得のいく出産のために、無痛分娩を検討してみてください。

 

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