Article陣痛が5分間隔になっても子宮口が開かない?原因や自分で対処できる方法
コラム 2024.10.11
出産を目前に迎えて陣痛が来たけれど、病院で「子宮口が開いていない」と言われた方はいませんか。また、「子宮口がなかなか開いておらず、出産に時間がかかった」という方の経験を聞いて自分は大丈夫か心配という方もいらっしゃるかもしれません。基本的に陣痛の間隔が短くなるにつれて、赤ちゃんが出やすくなるように子宮口もどんどんと開いていきますが、かたくて開きにくい方もいらっしゃいます。
本記事では出産の過程に合わせた陣痛や子宮口の開きについて解説します。また、子宮口が開きにくい原因や、自分でできる対処方法についてもまとめています。できるかぎりスムーズな出産ができるように本記事を読んで取り組んでみてください。
出産が進むにつれて子宮口が開く
子宮口とは、子宮の入り口で赤ちゃんが出てくる場所です。妊娠中は赤ちゃんが出てきてしまうことがないようにしっかりと閉じていますが、出産に合わせてどんどんと開いていきます。
陣痛は、赤ちゃんを押し出すために子宮が収縮することで起こります。まず前駆陣痛と呼ばれる、不規則なお腹の張りや痛みが出ることがあります。痛みが始まってから次の痛みが出るまでの時間を、陣痛の間隔と言い、どんどんと規則的になり、間隔も短くなっていきます。陣痛の間隔が10分程度になると、「陣痛が始まった」という状態になり、このタイミングで病院に連絡を入れることが多いでしょう。
出産が近づいてくると、子宮口がどんどんと開いてきて、最大10cmほどまで開きます。子宮口がどれくらい開いているかは自分で確認することができないため、病院で助産師に内診してもらう必要があります。
陣痛の間隔に合わせた子宮口の開きは以下のようです。
陣痛の間隔 | 子宮口 | やること |
8〜10分 | 0〜2.5cm | 病院へ連絡し入院する |
3〜5分 | 4〜8cm | 陣痛室で過ごした後、分娩室へ移動する。 |
1〜2分 | 9〜10cm(全開大) | 分娩台でいきみ始める |
ただしあくまで目安で、個人差が大きいため、必ずしもこのように進むとは言えません。陣痛が始まる前に子宮口が開き始めた状態で数日経過することもあります。
初産婦は経産婦に比べて子宮口が固いことが多く、子宮口が開くのに時間がかかります。陣痛が始まってから子宮口が全開大になるまで、初産婦は10〜12時間、経産婦は4〜6時間ほどかかると言われています。
子宮が開きにくい原因
子宮の開きやすさには個人差があります。一度経膣での出産を経験した方は、子宮が開きやすくなっています。
子宮が開きやすい人
・経産婦
・前回の出産が早かった
・切迫早産や流産をしたことがある
子宮が開きにくい人
・初産婦
・緊張している
・高齢出産
分娩が進みにくくなる原因
陣痛が弱い場合や軟産道と呼ばれる産道がかたい場合なども子宮口が開きにくくなります。子宮口が開きにくい状態になると、さらに陣痛が弱くなるなど赤ちゃんが下りてきにくい状態になり、分娩に時間がかかります。
子宮口が開きにくくなる原因
・微弱陣痛
・逆子
・回旋異常
・軟産道強靭
場合によっては、子宮口をタンポンやバルーンのような器具で子宮口を開くことや、陣痛促進剤を使用することもあります。
微弱陣痛
通常の陣痛は、初めは弱く間隔も長いのですが、出産が近づくにつれて強くなり間隔も短くなります。しかし、微弱陣痛と言われる、陣痛が弱い状態や陣痛の間隔が長いまま続くことがあります。
微弱陣痛は、骨盤の形や赤ちゃんが大きい、羊水が多い、子宮筋腫や子宮の奇形などが原因で起こります。妊婦が緊張している、不安に感じているなどの精神的なストレスや、長時間の出産に伴う疲労やエネルギー不足でも起こることもあります。
逆子(骨盤位)
逆子とは、子宮内で赤ちゃんの頭が下に来ていない状態のことを言います。逆子も、子宮口が開きにくい原因や微弱陣痛の原因になることがあります。
ただし、逆子の場合は帝王切開で出産を行うことがほとんどです。そのため、子宮口が開きにくくとも、赤ちゃんが出てくる上で、あまり影響がないことが多いでしょう。
回旋異常
赤ちゃんは、狭い産道を通るため、背中を丸めて、頭や体の向きを変えて回りながら下りてきます。この回旋が上手くいかないと分娩に時間がかかってしまいます。
赤ちゃんが巨大児、胎盤の位置に異常がある、骨盤が狭いなどの原因で起こりますが、赤ちゃんが特に理由なく体勢を変えてしまうことなどでも起こります。
軟産道強靭
赤ちゃんが生まれてくる産道のうち、軟産道と呼ばれる部分がかたくて分娩が進まない状態のことを言います。軟産道強靭によって分娩が遅れることで、子宮口が開きにくくなったり、微弱陣痛が持続したりする原因になります。
年齢とともに軟産道の筋組織や周辺の血管が硬くなるため、高年齢での初産の場合に起こりやすくなります。また妊娠中の体重増加によって、産道の組織に厚みが増して産道が狭くなる場合も軟産道強靭にあたります。
子宮口が開かない場合に自分でできる対処方法
子宮口がなかなか開かない場合や、陣痛が弱くなってお産が進まない場合は、どれくらいで生まれてくるのか不安になりますよね。陣痛に耐えている時間が長くなると、疲れてきてしまうことも少なくありません。対処方法を知って陣痛を促し、休憩をとって体力を回復しながら過ごしましょう。
体を温め軽い運動で陣痛を促す
体が冷えていると、体の血液の循環が悪くなりお産が進みにくくなります。破水をしていなければ、入浴することもできるため、体の内側から温めましょう。くるぶしのあたりも冷えやすいため、靴下をはいておくのもおすすめです。
子宮口が開きにくいときは、少し歩いたりスクワットをしたりすることで、子宮口が開きやすくなります。ただし、スクワットが上手にできないと、腰痛になる場合や赤ちゃんに圧がかかることがあるため注意が必要です。赤ちゃんや母体の状態にもよるため医師や助産師に相談して始めましょう。
適度な休息
出産は長丁場で、痛みに耐えているだけでも疲れやすくなります。さらに陣痛が微弱になったり、子宮口が開きづらくなったりすると、時間がかかりエネルギーを消耗します。
陣痛があるので、しっかりと寝ることは難しいかもしれません。しかしずっと痛いわけではないので、陣痛の合間をみて休息をとりましょう。また、痛みを我慢していると体に力が入ります。リラックスすることで、筋肉や骨盤が緩み、赤ちゃんが移動しやすくなります。子宮口が最大になるまでは、なるべくリラックスして過ごしましょう。
・陣痛の合間にうとうとと休憩する
・楽な姿勢で過ごす(楽な姿勢を探す)
・ゆっくりとした呼吸を心がける
・好きな音楽をかける
・アロマを活用する
・マッサージする
パートナーや、陣痛の時や出産の時に側にいる方にマッサージやさすってもらうのも良いでしょう。陣痛の進行によって痛みのある場所は変わっていきます。さする場所やさする強さを調整してもらいます。
スムーズな出産のために妊娠中からできること
出産時に子宮口が開きやすくなり、スムーズに出産するには、妊娠中から軽い運動をして、体重管理をしましょう。
軽い運動
日頃から、適度な運動をしましょう。体力をつけたり、骨盤周りの筋肉を鍛えたり、股関節を柔軟にしておくことで、子宮口が開きやすくなります。ウォーキングなどは無理なく取り組みやすく、気分転換にもなります。
妊娠中におすすめの運動
・ウォーキング
・マタニティヨガ・マタニティピラティス
・マタニティスイミング
ケガをする恐れのある運動は避けて、熱中症などにも注意しましょう。ただし、ヨガやピラティスは妊娠中にはできない姿勢もあります。自己流ではなく、レッスンのマタニティクラスに通うのがよいでしょう。
体重管理
妊娠中に体重が増えないように言われた方という方もいらっしゃるのではないでしょうか。妊娠中に体重が増加しすぎた場合や、もともと肥満体型の場合は、軟産道強靭や、赤ちゃんが大きくなりすぎる、子宮が開きにくくなる原因となります。他にも、体重が増えることに関連して妊娠高血圧や妊娠糖尿病のリスクも上がり、難産や帝王切開になる確率も上がります。
体重増加の目安は、妊娠前の体格によって異なるため、医師のアドバイスを受けて管理をします。規則正しい食事や、食事の量を決めて、脂質や糖質は控えめにしましょう。無理のない範囲で運動も取り入れるのが良いでしょう。
まとめ
陣痛が来ても弱くなってしまうことや、子宮口が開きにくいこともあります。子宮の病気などが原因のこともありますが、緊張や不安なども影響しているため、出産が思うように進まなくても心配しすぎるのもよくありません。
軽い運動や体を温めるなどできることもあるため、医師や助産師のアドバイスを聞きながら、リラックスにつとめましょう。