Article妊娠初期に気を付けたい流産しやすい3つの行動|確率や原因についても解説
コラム 2024.10.09
妊娠が判明して喜びもつかのま「妊娠初期に流産しやすいって本当?」「二度と、流産の悲しみは味わいたくない」「どんなことに気を付けて生活したらいい?」と不安や疑問を感じる方もいるでしょう。
妊娠初期とは妊娠4か月(0〜15週)までの期間をさし、人によってはつわりの症状があったり、心身の状態が不安定になったりする時期でもあります。
この記事では妊娠初期に気を付けたい流産しやすい行動について解説します。
過度に神経質になる必要はありませんが、流産の確率や原因、妊娠初期のよくある質問についても解説するため、妊娠初期の方やこれから妊娠を望む方は参考にしてみてください。
妊娠初期の流産は妊娠3か月(妊娠11週)までに起こりやすい
妊娠週数は最終月経の開始日をもとに計算します。
そのため生理周期が規則的な方で「あれ?少し生理が遅れているかな?」と感じたときには、すでに妊娠2か月目の4〜5週目であることが多いのです。
妊娠初期 | 妊娠中期 | ||||
妊娠1か月 | 妊娠2か月 | 妊娠3か月 | 妊娠4か月 | 妊娠5か月 | 妊娠6か月 |
0~3週 | 4~7週 | 8~11週 | 12~15週 | 16~19週 | 20~23週 |
早期流産 | 後期流産(21週まで)/早産(22週以降) |
早い人で妊娠4週目頃からつわりの症状を感じはじめ、妊娠6週目頃から赤ちゃんの心音が確認できます。
医療機関で確認された妊娠のうち約15%が流産になるというデータがあり、妊娠と気づかず流産しているケースも含めるとさらに数は増えるでしょう。
さらに妊娠初期、特に妊娠3か月(0~11週)までの流産が約8割以上を占めることから、流産の多くは妊娠初期に起こっているのがわかります。
妊娠初期の流産は胎児側の要因が多い
妊娠初期、特に妊娠11週目までに起こる流産の原因で最も多いのが、胎児側の染色体異常です。
お母さん自身が流産したことを「自分のせいだ」と責めることも多いでしょう。
しかし染色体異常のある受精卵は途中で発育が止まってしまうため、受精卵が育ちきれない運命だったともいえます。
流産のほとんどの原因は胎児側にあるといわれていますが、3回以上の連続した習慣流産の場合は、流産しやすい要因を検査する必要があります。
この場合、両親の染色体に何らかの異常を認めるケースがあり、他にも母体側の原因として子宮の形態異常や感染症などが挙げられます。
妊娠初期に流産しやすい3つの行動
妊娠初期の11週までの流産は胎児側に原因がある場合が多いですが、妊娠12週以降に起こる流産を予防するには、下記3つの行動に気をつけましょう。
- 喫煙
- アルコール摂取
- カフェインの過剰摂取
妊娠初期の流産との関連について解説します。
1.喫煙
厚生労働省のデータによると妊婦の喫煙は、流産や早産、低出生体重・胎児発育遅延などに影響すると報告されています。
たばこの煙に含まれる有害物質のなかで、特に妊娠に悪影響を及ぼす物質を表にまとめました。
ニコチン | ・血管収縮作用により胎盤の血流を減少させます |
一酸化炭素 | ・酸素を運搬するヘモグロビンの量を減少させます
・血管の内側の壁(血管内皮)を傷つけます |
酸化物質(活性酸素など) | ・炎症による組織障害、脂質過酸化、血栓形成を引き起こします |
喫煙は胎児に十分な酸素が行きわたらず胎盤の老化・機能低下を引き起こすため、早産や流産、低出生体重児のリスクが非喫煙時に比べ2〜3倍高まるといわれています。
他にも子宮外妊娠、常位胎盤早期剥離、前置胎盤との関連性が指摘されています。
また母体の喫煙だけでなく受動喫煙も胎児の発育に悪影響を及ぼすため、妊娠が判明したら受動喫煙を受けない配慮が大切です。
2.アルコール摂取
妊娠中のアルコール摂取は、流産や死産、先天性異常との関連が指摘されています。
特に胎児の重要な器官がつくられていく妊娠初期の飲酒は、奇形を引き起こすリスクがあります。
また妊娠中〜後期の飲酒は、胎児の発育不全や神経障害との関連性が指摘されているため、妊娠期間中を通して禁酒が勧められます。
しかし具体的にアルコール摂取量との関係は、明確な安全性が確立されていません。
1日の摂取量は少なくとも、連日の飲酒は神経障害との関連性が指摘されてるため、妊娠が判明した時点で禁酒するのがよいでしょう。
もし妊娠に気づかずアルコールを少量摂取したとしても、ただちに胎児に影響があるわけではないため、過剰に神経質になる必要はありません。
3.カフェインの過剰摂取
日本では妊娠中のカフェイン摂取について、リスク評価は実施されていません。
しかし世界保健機関(WHO)は1日のカフェイン摂取量が300mgを超える妊婦に対しては、流産や新生児の低体重リスクを低減するために、カフェイン摂取量を制限するように注意喚起しています。
具体的に1日300mgのカフェイン量が、どの程度の摂取量に該当するか表にまとめました。
食品名 | 100mlあたりのカフェイン量 | カフェイン300mgを含む量 |
コーヒー | 60mg | 200mlのカップ2.5杯分 |
紅茶 | 30mg | 200mlのカップ5.0杯分 |
緑茶/ほうじ茶 | 20mg/20mg | 200mlのカップ7.5杯分 |
エナジードリンク | 32~300mg |
カフェインには覚醒作用があるため、眠気を防止して作業効率をあげる働きがあります。
気分転換に日常的にカフェインを摂取している妊婦さんも多いでしょう。
カフェインの摂取については主治医と相談し、カフェインレスの飲料に変える・他の気分転換の方法を取り入れるなど工夫しましょう。
妊娠初期の流産率は加齢とともに増加
年齢があがるにつれ、流産の確率があがるというデータがあります。
各年代と流産率をまとめた表は以下のとおりです。
年齢区分 | 流産率 |
20~29歳 | 約10% |
30~34歳 | 約15% |
35~39歳 | 約25% |
40~44歳 | 約50% |
出典:日本生殖医学会より
加齢に伴い流産率が増加する理由は、卵子の老化により受精卵が細胞分裂する際に染色体異常がおこる確率があがるためです。
流産しやすい妊娠初期に、年齢の要素が加わるとさらに確率があがります。
働く女性が増え、キャリアとライフステージの両立に悩む人も多いでしょう。
将来的に子どもを望むのであれば、妊娠の適齢期を検討することも流産のリスクを減らすひとつの大切な要素になります。
妊娠初期の流産についてよくある質問
妊娠初期は妊娠の喜びとともに、特に初産であればどのように日常生活を送ってよいか迷う方も多いでしょう。
もし流産してしまった場合に、ご自身の生活習慣や行動を責める人も少なくありません。
ここでは妊娠初期の過ごし方について、少しでも不安を軽減できるよう、よくある質問についてまとめました。
Q:妊娠判明後、今まで通り仕事はつづけられますか
A:妊娠判明後は速やかに職場に報告しましょう。
職種によっては就業制限や配置転換など配慮が必要な場合があります。
他にも通勤緩和措置や休憩時間の延長など、少しでも体に負担をかけない働き方が相談できるケースもあります。
Q:妊娠初期の旅行は控えたほうがいいですか
A:人によっては妊娠4週目頃からつわりが始まります。
体調も不安定な時期なため、安定期に入る中期以降の旅行が望ましいでしょう。
旅行の計画はゆとりをもって、旅先で万が一に備え受診先を調べておくのも安心材料になります。
Q:妊娠初期に運動してもいいですか
A:妊娠初期の流産は、胎児側の染色体異常が原因であることが多いため、妊婦の運動量の影響は少ないとされています。
妊娠前の運動習慣にもよりますが、気分転換にもなる適度な有酸素運動はおすすめです。
ただし無理はせず、体調がすぐれない日はゆっくり休みましょう。
Q:妊娠初期の性生活で気を付けることはありますか
A:妊娠中の性生活が直接的に流産の原因にはならないといわれています。
しかし妊娠初期はつわりや体調が不安定なこともあり、避けた方が良いでしょう。
安定期に性生活をおこなう場合も、感染症や子宮への刺激による出血や張りを予防するために避妊具の装着や体調に留意しましょう。
まとめ
妊娠初期である1〜4ヵ月の間は、体調も安定せず流産の確率が最も多い時期です。
特に流産の約8割が妊娠3か月の間に起こるといわれ、最大の原因は胎児側の染色体異常です。
妊娠初期に流産につながる可能性があるため、避けたい行動としては喫煙・飲酒、カフェインの過剰摂取があげられます。また年齢を重ねるほど流産率があがるというデータもあります。
妊娠初期は人によってはつわりもあり、心身ともに不安定になりやすい時期です。
仕事や日常生活において周囲の協力も得ながら、体調を第一に過ごしましょう。